熊本県
05.イグサの泥染めと乾燥。袋詰めと保管
Vol.10
Ep.05
泥染めは、天然の染土を溶かした泥水に、刈り取られたイグサをつけ込む作業。畳表(たたみおもて)の薄い緑色が変色しないよう保つだけでなく、畳の香りを引き出したり、弾力を保ってクッション性をよくするなど、畳の耐久性や美観を保つ上できわめて重要な工程です。
使用する染土によって、またつけこむ時間の微妙な差異によって品質が変わるため、それを見極めるのもイ草農家の重要な技術。中国産などではこうした緻密な泥染めは行えないため、様々な品質のイグサを混ぜたり、化学染料で一気に染めてしまうのが一般的。
泥染めしたイグサは、かつては天日で乾燥させていましたが、現在は天候に左右されることなく均一な状態で乾燥させるために乾燥機を使います。このときの温度や乾燥時間も重要なポイント。一定の水分量で乾燥させないとイグサの組織を壊し、弾力性も耐久性も損なわれてしまうのです。八代のイ草農家では厳密に温度や時間を決め、高い品質を保っています。